記憶の本棚

読み終えた本をまとめていく個人的なブログです。

『人を10分ひきつける話す力』―話にはどれだけ意味を込めれるかが大事である。

『人を10分ひきつける力』 齋藤 孝

要約

  • この本のテーマは「意味の含有率」というもの。

話にどれだけ意味が込められているかどうかで話が面白いかそうでないかが決まる。

「知情意体」を鍛えることで話す力を高めることができる。

「知情意体」とは知・情・意・体という4つを合わせた造語である。

知とは知性=ネタである。話し方の技術だけで会話力を高めようとするのは甘い。会話をする上でネタは重要なものであり、本を読む人を読まない人では話に含まれる意味の量がまるで違ってくる。

話す力がつくということは話し方がうまくなるだけでなく、考えが深くなることで人間的にも深くなっていくということなのである。

情とは感情を読み取る力。話を聞かせている相手がどういう雰囲気、感情なのかを読み取る力である。

意は話す意思のことで、話に「これだけは伝えたい」というメッセージ性のことである。

そして体は、声の張りや目線、しぐさなど、自分の体で示す雰囲気である。

「知情意体」を鍛えることで話し方も鍛えることができるのである。

感想

  • 話す力は自分の知識や能力、感情が一番に現れるものさし。

 話すという行為は誰もが日々行っていることで、話す内容がその人の中身を写すといってもいいかもしれません。この本ではまず、話すということの大変さを学ぶことができました。いい話をするためには多くのネタを持ち、場の雰囲気を読み、張りのある声で話す必要があります。私たちは日々何気なく話すという行為をやっているため、話すことは簡単なことと思いがちですが、実は大変なことなのです。

 また、話すことの重要性にも気付かされました。話をするのがこれだけ大変ということは、話す力はその人の力そのものなのです。話がうまい人は、それだけ人生経験・知識が豊富で多くのネタを持ち、場の雰囲気を読み取る観察力に優れ、メッセージを伝えたいという強い意志があるのです。話がうまい人とそうでない人の違いはこのあたりにあります。会話術を扱う多くの書籍では、聞く力を鍛えろといった小手先のテクニックばかり紹介していますが、それでは会話力というものはつきません。私自身も、多くの会話術を扱う本を読んで小手先のテクニックを習得しましたが、会話力が上がったかというと首を傾げてしまいます。私はなぜ会話力があがらなかったのか、それは圧倒的な知識不足でした。小手先のテクニックでは話の内容はうまらなかったのです。この本はそのことに気付かせてくれました。

 私の場合は圧倒的な知識不足が会話力のない原因でしたが、逆に知識が豊富でも会話力がない人もいます。聞く力などを小手先のテクニックとして雑に扱っていますが、実はこちらも重要な部分なのです。自分は本をよく読むし、知識が豊富だぞ!という方はぜひ会話術の書籍を手に取ってみましょう!